キャリアコンサルタント試験で特に大切なのが面接試験のなかのロールプレイです。
キャリアコンサルタントとして相談に乗る姿を面接官に採点されるというのは普段あまり経験しないシチュエーションなだけに、しっかりとした準備が大切。
私の体験や他の受検者、講師の話を総合してポイントをまとめてみたので、よければ参考にしてみてください。
■目次
実技面接試験の大事なポイントは1つだけ
とはいっても大切なポイントは1つだけだなと思っています。
クライエント(相談者)に気持ちよく話してもらうこと
キャリアコンサルタントの力で解決してやろうとか、いいとこ見せてやろうとか思ってしまうとダメですよね。
まずは聞き上手になって、たくさんしゃべってもらうことが大切。
理屈っぽい、結論を急ぐ、質問が長くなりすぎる、そういう傾向にある人は「クライエントに気持ちよく話してもらう」ことを強めに意識しておきましょう。
そして、気持ちよく話してもらうための雰囲気づくりも大切です。
座る位置の確認、口外は絶対にしないということの伝達、「他に気になることはありませんか?」といった確認。
このあたりも大切にしたいポイントですね。
追記:座る位置の確認、口外は絶対にしないということの伝達は、審査員から省略するようにいわれることもあります。
まずはクライエントのニーズを意識
「話を聞いてほしい」というクライエントのニーズを忘れてはいけないですよね。
自分(キャリアコンサルタント)のしゃべっている量が多くないか練習のなかで常にチェックしておきましょう。
実際の相談場面では「情報がほしい」というニーズもありますが、キャリアコンサルタント試験では「話を聞いてほしい」というニーズを満たしてあげることを意識しておくことが大切。
知識量(情報量)に関しては、学科試験で試されていると考えることもできますよね。
その人の生き方、価値観を共有する
気持ちよく話してもらうということが大きなポイントですが、やりとりの間で何かしら目標がないとコンサルタントの意味はないと思います。
私が思うに、その人の生き方、価値観を再認識してもらうことがキャリアコンサルタントの大きな目標ですね。
「自分はこういう風に生きていきたい」という本音の部分は、クライエントのなかで埋もれていてクライエント自身でもわからなくなっていることが多いと思います。
「この人は、本当は何を大切に生きていきたいのだろう」
こういったことをイメージしながら相談に乗っていくと、自然と聞く姿勢というのが身につくと思います。
もちろん人によって、価値観や自分の人生で優先させたいものはさまざまでしょう。
- 家族を守るための経済力
- 自分が楽しく働けるような仕事内容
- 社会や組織に貢献できるように、自分の長所を活かせる仕事
- 人生は限られているから、無駄な時間は過ごしたくない
- 仕事は二の次、とにかく結婚して幸せな家庭を築きたい
ぱっと思いつくぐらいでもこれぐらいあります。
もちろん「ほとんど全部大事だ!」という人もいるでしょう。
「これらのなかでどれを優先したいのか」という優先順位に個性が出るのではないでしょうか。
やってはダメなこと
クライエントに気持ちよく話をしてもらうことが一番大切ですが、それをふまえて、やってはダメなことをまとめてみました。
キャリアコンサルタント主導で話してしまう
おそらく失敗する人のほとんどはこれです。
試験においては、キャリアコンサルタントの意見なんてどうでもいいんですね。
「沈黙があっても待って話やすい雰囲気をつくる」が基本です。
知ったかぶりに注意
時間も限られていますし、知ったかぶりが絶対だめというわけではありません。
ただ、クライエントの仕事内容を尋ねたところで、いまいち理解できないことって多いと思うんです。
そこをわからないままにしてしまうと、あとになって困ることもよくあるんですよね。
しかも、「その仕事について詳しく教えてください」や「それどういうことですか」といった質問はクライエントからしたら嫌な気持ちにはならないはず。
関心を寄せているということを伝えることができるので、疑問に思ったことは素直に聞いていくのが基本です。
(性格的に知ったかぶりをしやすい人は要注意)
私が直前にやったこと
試験本番までの1週間ぐらいの間で、私がやったのは短いフレーズで質問できるようにトレーニングすること。
「そのときどういうお気持ちだったんでしょうか?」など。
気持ちよく話してもらうためには「○○ですけど、○○で、○○ということは、○○なんでしょうか?」みたいな長い質問はしないほうがいいです。
質問のフレーズはなるべくシンプルに。これを自主練して、心に余裕を持った状態で当日を迎えました。
もちろん受検仲間といっしょに練習できる機会も大切にしましょう。
知っておきたい専門用語
キャリアコンサルタントに関する専門用語ってかなりあります。
理論に関しては「発達」「心理」「キャリア」などに分類されていて、学者の名前とキーワードを覚えないと学科試験に通りません……。
口頭試問では用語を少し使うと熱意を伝えれますし、ロールプレイにおいても理論の枠組みは役立ちます。
筆記試験、ロールプレイ、口頭試問で知っていると便利な言葉をここではまとめておきますね。
シュロスバーグの4S
学科試験でも頻出であるシュロスバーグの4S理論は実技試験にも活かせます。
4SとはSelf(自己) Situation(状況) Support(支援) Strategy(戦略)のこと。
これをシュロスバーグは4つのリソースだと言っており、カウンセリングではクライエントの4Sを確認していくことが大切です。
実際の相談場面、実技面接試験でも、「自己」は聞けたけど、「支援」については聞けていないなとかチェック項目として使える考え方ですね。
ちなみに、「支援」とは家族からのサポートとか、職場でのサポートのことですね。そういうことを聞き出すことで、自分自身を振り返ってもらえます。
ロジャースの来談者中心療法
カール・ロジャースは臨床心理学の世界で一番有名な学者といっても過言ではありません。
「共感的理解」「受容的態度」「自己一致」がカウンセリングでは大事とのこと。
元々は心理療法(心理カウンセリング)ですが、キャリアコンサルタントでもこの考え方に沿ってカウンセリングを行います。
ただ、試験ではクライエントに気持ちよく話してもらえれば問題ないので、こういった理論を深追いする必要はないと思います。
開かれた質問、閉ざされた質問
開かれた質問とは言い換えると、抽象的な質問のこと。
「そのときどのような気分だったのですか?」など。
たくさんクライエントに話をしてもらいたいときに大事な質問です。
閉ざされた質問はその逆。
「とても不安だったんですね?」など。
「はい」「いいえ」で答えられる質問のことです。
最初の段階では緊張をほぐすためにも閉ざされた質問を中心にして、その後開かれた質問を多めにすることが大切だといわれています。
全体としては開かれた質問を多めにして、クライエントの話をしっかりと聞くように心がけましょう。
イリショナルビリーフ
非合理的信念のこと。つまり思い込みですね。
イリショナルビリーフに気付いてもらうのも1つのポイントですね。
難しいことを考えすぎず、気持ちよく話してもらうことを意識する
繰り返しになりますが、キャリアコンサルタント試験のロールプレイで大切なのは、クライエント(相談者)に気持ちよく話してもらうことです。
そのためにどうすればいいのか、実践(練習)を通じて体得していけばきっと突破できるはず。
参考にしていただければ幸いです。
▼口頭試問対策についてはこちらでまとめました。
▼筆記試験の過去問分析はこちら。
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