キャリアコンサルタント試験で最頻出の人物といえばキャリア理論家であり、実践家でもあるドナルド・スーパーです。
この記事ではスーパーの理論で覚えておきたいキーワードや概要についてどこよりもわかりやすく解説したいと思います。
■目次
スーパーの理論で覚えておきたいキーワード
まずは覚えておきたいキーワードについてです。
- 発達段階、発達課題
- ライフロール(人生役割)
- キャリアレインボー、ライフスパン(発達)、ライフスペース(人生という舞台)
- アーチモデル
- 自己概念、職業的自己概念
- 職業(的)適合性
スーパーならではの言葉もありますが、そうでない言葉もありますね。
ここからはこれらのキーワードについて簡単に説明していきたいと思います。
発達段階(重要度S)
キャリアを発達と絡めながら研究していたスーパー。
以下のように段階で整理して、それぞれの段階でクリアすべき発達課題があるとしました。
- 成長段階(0〜14歳)
- 探索段階(15〜24歳)
- 確立段階(25〜44歳)
- 維持段階(45〜65歳)
- 衰退段階(66歳〜)
正答を導くにあたって細かい理解は不要ですが、何歳から何歳までがどの段階かということを理解しておくのは大切です。
成長→探索→確立→維持→衰退
感覚的にも理解しやすい順番ではないでしょうか。
ライフロール(重要度B)
人生役割とも訳されるライフロール。
人生役割の数は「9ある」と書いている本、「6ある」と書いてある本があり、数や正確な理解は不要ではないかと思います。
念のため9つあげるとするとこのようになります。
- 子ども
- 学生
- 余暇人
- 市民
- 労働者
- 配偶者
- 家庭人
- 親
- 年金生活者
ライフロール単体で出題されることはあまりありません。
ライフキャリア・レインボーとアーチモデル(重要度B)
キャリアコンサルタント試験の勉強を進めているのであれば、必ず目にするであろう図がこちら。
発達段階、発達課題、ライフロールがわかりやすく図示されています。
意外にもキャリアコンサルタントの実際の試験では「ライフキャリア・レインボー」と「アーチモデル」という言葉はあまり出てきません。
ただし、発達段階は頻出なので、それを理解するうえで「ライフキャリア・レインボー」と「アーチモデル」は勉強しておいたほうがいいでしょう。
「自己概念」を重要視(重要度A)
アーチモデルで要部分にあたるのが「自己概念」。スーパーがとても重視した言葉です。
非常にニュアンスの広い言葉ですが、一言でいうと「自分自身をどのように捉えているか」という自己認識の意味。
キャリアの分野では「なりたい自分」「ありたい自分」を含んだ自己認識と理解するとわかりやすいでしょう。
「自己概念の実現を支援することがキャリアコンサルタントの重要な役割だ」といった文脈でもよく使われます。
また、スーパーは仕事における自己概念を「職業的自己概念」と呼びました。
職業(的)適応性(重要度A)
スーパーは仕事に適応するために必要な特性をまとめ、職業(的)適応性としました。
次のように分類されています。
①能力
(1)適性
1.知能
2.空間視覚
3.知覚の速さ・正確さ
4.精神運動機能
(2)技量、学力、熟練度
②パーソナリティ
(1)適応
1.欲求
2.人格特性
(2)価値観
(3)興味
(4)態度
試験にもよく出ています。
「空間視覚」は能力のなかの適性に分類されている、といった形で図のとおりグルーピングして覚えていくのがいいでしょう。
スーパーの理論の全体像と背景
ここからはキーワードを整理しながら覚えるためにも、理論の全体像や背景を解説していきます。
スーパーの理論を図示したものがライフキャリア・レインボーとアーチモデル
スーパーの理論は以下の図のようにわかりやすくまとめられます。
発達段階、発達課題、ライフロールを図示したものがライフキャリア・レインボーとアーチモデルですね。
スーパーは実践家としても活躍
スーパーは研究者(理論家)だけではなく、キャリアカウンセラー(実践家)としても活躍しました。
- 「自己概念」の重視
- 職業(的)適合性という概念の提唱
この2つは実践の場面でも役立てることのできる概念ではないでしょうか。
スーパーの出題例
では実際に試験ではどのように出題されているのでしょうか。
確認しておきましょう。(すべて正しい文章です。)
【第1回】
自己理解すべき内容の一つとして、スーパー(Super, D.E.)が示した職業適合性(vocational fitness)があり、その内容は能力とパーソナリティという 2 つの側面がある。
【第3回】
スーパー (Super,D.E.) は、ライフ(キャリア)ステージの中で中年期とは 「確立」の後半から「維持」の前半ぐらいの期間であるとした。
【第9回】
スーパー(Super,D.E.)は、キャリア発達が゙職業的自己概念を発達・実現していくプロセスであると考え、職業的発達段階を提唱した。
【第10回】
スーパー(Super,D.E.)の提唱したキャリア発達の諸段階に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
2.成長段階、探索段階、確立段階、維持段階、解放(衰退、下降)段階
【第12回】
スーパー(Super,D.E.)が示した職業的適合性(VocationalFitness)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。
1.空間視覚(SpatialVisualization)は能力(Ability)に含まれる。
【第12回】
スーパー(Super,D.E.)は、職業的発達段階における各段階の間には、暦年齢にゆるく関連した「移行期」があるとした。
スーパーの理論から考えたいこと
試験対策とは少し離れますが、ここからは実践の場面でどう活かせそうかという話です。
- 「自己概念」の実現を支援するために、何ができるだろうか。どういったふうに問いかけたらいいだろうか。
- 職業的適応性の概念を使ってクライエントの情報を整理するとすればどうすればいいだろう。
参考にした書籍はこちら
『新版 キャリアの心理学 [第2版]』著:渡辺 三枝子
『キャリアコンサルティング理論と実際 5訂版』著:木村 周
『キャリアカウンセリング』著:宮城 まり子
『キャリアカウンセリング再考』著:渡辺 三枝子
スーパーの理論を動画でも解説しました!
スーパーの理論を動画でも解説しました。
移動時間などできいてもらえたらうれしいです。