この記事では国家資格「キャリアコンサルタント」という資格について、実体験を踏まえたうえで全体像を解説していきます。
2016年から国家資格となった新しい資格。
試験の概要や将来性、需要についても説明していきますね。
■目次
キャリアコンサルタントは名称独占資格
キャリアコンサルタントとは簡単にいうと「職業に関する相談に応じ、助言と指導をする人」のこと。
ただ、”キャリアコンサルタント”と名乗るには「キャリアコンサルタント試験」に合格し、登録をする必要があります。
国家資格であるキャリアコンサルタントは名称独占資格ということですね。
私も2年前に合格と登録をし、今も仕事によってはキャリアコンサルタントと名乗っています。

キャリアコンサルタント試験について
ここからはそのキャリアコンサルタント試験について解説していきます。
キャリアコンサルタント試験の受験資格
まずはキャリアコンサルタント試験の受験資格から。
キャリアコンサルタント試験は次の受験資格のうち1つでも満たしていれば受験することができますよ。
- 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した者
- 労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上のいずれかに関する相談に
関し3年以上の経験を有する者 - キャリアコンサルティング技能検定の学科試験又は実技試験に合格した者
- 上記の項目と同等以上の能力を有する者
講座の料金は安くても20万円ほど。
ただ、教育訓練給付制度(専門実践)の対象になっているケースがほとんどなので、雇用保険の被保険者である(あった)期間が一定以上の場合、最大70%OFFとなりますよ。
▼たくさんの団体や学校で養成講座が行われていますが、その比較をこちらで記事にしています。
③の「キャリアコンサルティング技能検定」は国家検定で、「国家資格キャリアコンサルタント」の上位資格という位置づけです。
「キャリアコンサルティング技能検定」に合格し、その後登録を行えば「キャリアコンサルタント」を名乗ることができますよ。
ただし、受験資格が厳しく、合格率も低いので、未経験者はキャリアコンサルタント試験から受けるケースがほとんどです。
キャリアコンサルタント試験には学科試験と実技試験がある
キャリアコンサルタント試験には学科試験と実技試験があります。
その試験範囲は厚生労働省のホームページから引用するとこの5つになります。
・キャリアコンサルティングの理論に関する科目
・キャリアコンサルティングの実務に関する科目
・キャリアコンサルティングの社会的意義に関する科目
・キャリアコンサルタントの倫理と行動に関する科目
筆記試験と実技試験いっしょにまとめられているので、少しわかりづらいかもしれません。
ここでは筆記試験と実技試験に分けて紹介していきますね。
筆記試験
筆記試験ではわたしは次のように分類して勉強をしていました。
- キャリアに関する理論
- 発達に関する理論
- カウンセリングに関する理論
- 法律
- アセスメントツール(心理テストなど)
- 求人倍率など時事的な問題
過去問を繰り返し解くことで、⑥時事的な問題もコツはつかめると思います。
▼①〜⑤でどのような問題が出やすいかはこちらの記事で分析しています。
▼試験対策でオススメの本はこちらです。
実技試験は3つに分けられる
実技試験は論述試験、ロールプレイ、口頭試問の3つに分けることができます。
論述試験
論述試験は「筆記試験」ではなく「実技試験」なので、実際の相談の場面を思い浮かべながら書くと、基本的にクリアできます。
シュロスバーグやカール・ロジャーズなど実用性の高い理論を優先的に、論述で書けるよう準備しておきましょう。
わたしは本番では量を多めに書くことを意識してクリアすることができました。
ロールプレイ
ロールプレイはクライエント役の人と1対1で相談を行い、その様子を採点官がチェックする形で行われます。
▼対策はこちらで書いています。
口頭試問
ロールプレイが終わると採点官からそのやりとりについて、質問を受け答えます(口頭試問)。
▼対策はこちらで書いています。
試験は2日に分けて行われる
試験はこのような感じで2日に分けて実施されます。

学科試験(筆記試験)と論述試験が同じ日にあり、ロールプレイと口頭試問がまた違う日に行われるということですね。
試験の実施団体は2つある
キャリアコンサルタント試験の1つの特徴は試験の実施団体が2つあるということ。
JCDA(日本キャリア開発協会) とキャリアコンサルティング協議会です。
学科試験は共通の問題ですが、実技試験(論述試験、ロールプレイ、口頭試問)は少し内容がちがいます。
論述試験は過去問が公表されているので、事前に過去問を確認してから、どちらで申し込むか決めるのもいいでしょう。
※養成講座によっては推奨団体が決められているケースもあります。
キャリアコンサルタント試験の難易度・合格率は?
試験のあと1カ月ほどで合格発表があります。
第8回試験(2018年5月〜6月実施)の合格率はこのようになっています。
第8回 | JCDA(日本キャリア開発協会) | キャリ協(キャリアコンサルティング協議会) |
学科(選択式) | 59.9%(831人) | 66.5%(992人) |
実技(論述、面接) | 71.9%(779人) | 67.5%(909人) |
学科・実技同時受験者の最終合格 | 53.6%(472人) | 54.9%(637人) |
▼毎回の合格率はこちらでまとめています。
「合格率が高すぎる」という意見もありますが、国の目標に対してキャリアコンサルタントの数がまだまだ足りないので、大幅に難化することはないでしょう。
2019年度末まではキャリアコンサルタントの「集中養成期間」に設定されているのでおさらです。
▼参考:2014年に策定された政府目標
2014年に策定された政府目標は以下のとおりです。(参考:「キャリア・コンサルタント養成計画」の策定について)
- 2019年度末までに79,000人
- 2024年度末までに100,000人
キャリアコンサルタント資格を活かせる場所
キャリアコンサルタントの資格をとったら、それをどう活かせるかも気になるのではないでしょうか。
活かし方はいろいろあります。
- 企業内で活かす(企業内キャリアコンサルタント、人事部、管理職)
- 就職支援をする民間企業で活かす(人材紹介、人材派遣)
- 就職支援をする公的機関で活かす(ハローワーク、地域若者サポートステーション)
- 学校などの教育機関で活かす
- 社会保険労務士が仕事で活かす
- インターネット上で活かす
わたしのキャリアコンサルタントの受験仲間で考えると、3,4,5の仕事がメインです。
▼詳しくはこちらで記事にしているので、よければ参考にしてみてください。
今後キャリアコンサルタントのニーズは高まっていく
キャリアコンサルタントは必要とされていて、資格やスキルを活かせる場所もたくさんあることを紹介してきました。
ではなぜそこまでキャリアコンサルタントのニーズは高まっているのでしょうか?
どのようなニーズがあるかまとめていきますね。
知識のある第三者に確認してもらいたいというニーズ
履歴書やエントリーシート(ES)、面接などを知識のある第三者に見てもらいたいというニーズはかなりあるように思います。
たくさんの人と相談をしていると、他の人と比較してどうかという視点でアドバイスすることもできますよね。
「個性が出ているか」「差別化できているか」といった点をアドバイスするのもキャリアコンサルタントの大切な役割だと思っています。
▼インターネットを通じて添削サービスなどを提供することもできます。
働き方が多様化していて、逆に迷いが生まれている
副業を認める企業の増加など、働き方が多様化しています。
今までになかった職業も生まれて、職業の選択肢がかなり広まっていますよね。
転職も当たり前になりつつあります。
選択肢が多いのはいいことだと思っていますが、今度はそこから何を選べばいいかわからないと感じる人も増えています。
そんなときに納得の行く選択をするためのフォローが求められているのではないでしょうか。
「好き」「得意」「やりたい」「価値観」がわからないという悩み
選択肢が多いと「好き」「得意」「やりたい」といった自分の本音を基準に選んでいくこともできるようになります。
ただ、これらのことが自分ではわからないと感じている人も多いですね。(私もよく悩みます。)
自分は仕事で何を大事にしていきたいかという「価値観」がわからないというケースも。
いっしょに考え、納得の行く決断をするためのフォローをするという役割は今後ますます大切になっていくでしょう。
話をきいてほしいという需要
多くの人にとって仕事の悩みは尽きません。上司との関係、部下との関係、仕事内容、給料…。
不満があると「話をきいてほしい」という気持ちになるのは自然なことですが、それを話せる人がいないケースも多いです。
「話なんてゆっくりきけない」と考える社員、経営者も多いので、なおさら話をきいてあげられる人は重宝されるはず。
「話をきいても問題は解決されない」と思うかもしれませんが、実際は「話をきかないと問題は解決できない」だと私は感じています。
労働者人口の減少
労働者人口が減っており、少子化がますます進むなか、企業の立場から考えてもキャリアコンサルタントの役割は重要です。
組織にマッチした人材に長く働いてもらいたい。
そのような思いを持っている企業はたくさんあり、橋渡し役としてのキャリアコンサルタントはこれからも重宝されるでしょう。
キャリアコンサルタントに向いている人
キャリアコンサルタントといっても仕事はさまざまですし、その人なりの活かし方があるので、向き不向きの区別はなかなか難しいのではないでしょうか。
あえて向いている人の特徴をあげるとしたら、この2点だけだでしょう。
- 人が好き
- 仕事で悩んだことがある
この2つはきっとキャリアコンサルタントの仕事をするうえでの原動力になると思います。
どこのキャリアコンサルタント養成講座をにしようか迷っているのであれば、こちらを参考にしてくださいね。
▼この記事は動画でも解説しています。