現職人事の方が書かれている本はなかなか説得力がありますよね。
公務員試験対策本として、何冊か出ていますが、今回じっくり読んでみたのはこちら。
公務員試験 現職人事が書いた「自己PR・志望動機・提出書類」の本 2019年度
著者は大賀さんといって、現職人事の方。
有益な情報がたくさんあったので、特にチェックしたいポイントをここでは紹介したいと思います。
■目次
能力が高い人が受かるとは限らない
「内定を得られる人」というのは「いっしょに働きたいと面接官に思ってもらえる人」です。
能力が高くても、いやがられてしまうと内定を得ることはできません。
実際にこの本のなかでも、公務員としての好感度が高い人をこのように表現されていて、興味深かったです。
公務員の場合は、おっとりしているというのかな?ビジネスパーソンの枠バッチリというよりは、それからちょっと外れている人、よくいえば器が大きい、悪くいえばちょっとボーっとした人のほうが割りと受けがいいかも?っていう感じがします。
ただし、仕事をキッチリこなす能力やコンプライアンス(法令遵守)力は重視されます。
ただし、一部の幹部職員、すなわち総合職や上級職という職種で採用される人たちには、民間の場合と同じような能力も最近ではかなり要求されるようになってきています。(P59)
公務員としての適性があるか、このような感じでチェックされているんですね。
ニックネームが付きやすそうな面接シートになってますか?
リアルな話だなと感じたのが、ニックネームのつく受験生がいるという話。
有望な受験者にはたいていあだ名が付くようになりますし、そういう受験者はだいたい合格し、採用にまで結びついています。(P75)
個性が光っていて、好感度がいいからこそ、ニックネームがつくわけですよね。
面接シートでニックネームがつきそうか、振り返ってみるのもいいのではないでしょうか。
経験の中でつかんだ「コツ」「法則性」をアピール
なるほど!と思ったのが
経験の中でつかんだ「コツ」「法則性」をアピールすることの大切さ。
経験の中であなたがつかんだ「コツ」あるいは「法則性」を回答の中で示すことが重要なのです。そうすることで、あなたが「経験から多くを学んだ人=優秀な人」「いろいろ工夫できる思考力の高い人」であることが面接官や人事に伝わるわけです。(P76)
ストーリー性や自己PRにもつながりますし、「仕事でもその能力を活かしてもらえそうだな」と面接官に思ってもらえる可能性も高いです。
経験を羅列するだけじゃなくて、何を学び、それを仕事でどう活かせそうかまで考えられるといいですね。
志望動機は重要だが差がつかない?
民間企業であっても、官公庁であっても志望動機に頭を悩ますことって多いと思います。
ただ、人事の方のお話をきいていると、意外と志望動機って重要視されていないんですよね…
さらに、この現職人事本を読んで思ったのは「志望動機は重要だけど差をつけづらい」ということ。(志望動機は脚色されやすいので)
大賀さんもこのようにおっしゃっています。
「志望動機」をストレートに聞く質問だけでは区別ができないっていうことをいっているんであって、決して面接官や人事が「志望動機」自体を軽視しているわけではないんですっ!(P115)
志望動機が大事なのは、その志望先についてしっかり調べているか、熱意や意志がこもっているかをチェックできるからです。
志望動機に悩んでいるのであれば、「その行政機関で自分は何をしたいのか」考えてみましょう。
簡単にいうと、「興味のある取り組みに携わりたい!」だけで志望動機になります。
(もちろん面接で深く突っ込まれることは前提のうえでの準備は必要です。)
誇張や脚色は当たり前
多少は誇張、脚色されているだろうというのは面接官も想像しているんですね。
面接官や人事のほうも、たいていの受験者の答えは、誇張されたり脚色されたりしているだろうと思っています。とはいうものの、やっぱり、バレバレの作り話、取ってつけたようなアピールは、どの面接官や人事からの評判もよくないものです。(P85)
私も100%のウソは絶対によくないと考えていますが、脚色せざるを得ない部分はあると感じています。(特に志望動機)
「憧れ」はNGワード
これやってしまいがちなので、注意しましょう。
「◯◯市で働くことに憧れています。」みたいに書くのはよくないです。
「憧れ」と書いてしまうと自分と志望先の間に差があることを、自ら認めているような印象になるからです。
大賀さんもこのようにおっしゃっています。
面接官は、憧れや思い込みで志望する受験者を敬遠します。(P105)
主人公は自分自身
面接シートの目的とはなんでしょうか。
自分のことを知ってもらうためであり、主人公は自分自身です。
面接シートを読んでいて、自分に関する記述が少なすぎると感じることがよくあります。
周りの環境や志望先の企業についての記述がやたら多かったり、受身形を使いすぎるのにも注意が必要です。
自分を主語にしている文章は読みやすくなりますし、意志と熱意がこもるので意識しましょう。
大賀さんもこのように書かれています。
受身形をなるべく避けるというのも1つの工夫です。受身形(受動形)と能動形とでは、能動形にするほうが、文が短くなり、主張がストレートに表れ、生き生きした感じになります。(P179)
質問にきっちりと答え、わかりやすく書く
「質問にきっちりと答える」「わかりやすく書く」
よくいわれる話ですが、改めて大切さを認識できました。
この2つをクリアできれば、それだけで差別化できます。
受験申込書、面接カードは、見た目が7割です。(P184)
受験申込書も面接カードも、基本的には1回しか読まれません。しかも、短時間でサッと読まれるだけ。(P258)
実は、社会人(面接官や人事)の要求することにストレートに答えてくれている学生(受験者)のほうが少ないんです。ストレートに答えれば、つまり、いっとうまともに答えてくれさえすれば、実は、それが最も目立つし、一番印象に残るんだということを肝に銘じてください。(P181)
当たり前のことを当たり前にやるという力はやはり大事。
質問にしっかり答え、それをわかりやすく伝えるという当たり前を大切にしましょう。
学びは多かったけれども…
いろいろ学びの多い本ですが、残念なところもありました。
レイアウトが見づらい
個人的にレイアウトが読みづらいです。(読みやすさが大事だとおっしゃっているのに…)
文章中に太字がたくさん出てくるので、どこが大事なのかよくわからなくなってきます。
Amazonで閲覧できるようになっているので自分で確認してもいいと思います。
公務員試験 現職人事が書いた「自己PR・志望動機・提出書類」の本 2019年度
コメントがやや辛辣
実際の面接シートを元にコメントされているのですが、結構辛辣なんですよね。
たとえばこんな感じです。
はっきり言って、0点です。(P107)
どこにも光るものがない(P111)
このような部分も含めて、私はこちらの本(↓)のほうが好きなんですが、内容的には両方読んでおくといいでしょう。