今日は本の紹介をしたいと思います。
海老原嗣生さんが書かれている『なぜ7割のエントリーシートは、読まずに捨てられるのか?』。
海老原さんの本は数冊読んでいますが、どれもおもしろいしタメになります。
どちらかというと、ビジネスマン向けの本が多いなか、この本は就活生にもオススメの1冊です。
公務員志望の人を含め、就活生が勘違いしていそうなことを論理的にデータも使いながらわかりやすく解説されていますよ。
海老原さんだけではなく、企業の人事部の方の声がそのまま掲載されている点もとても勉強になります。
就活生がこれからエントリーシートを作ったり、面接を受ける際に参考になりそうなところをご紹介しますね。
■目次
すごい経験も偉そうな肩書きもいらない
就活本を読んでいると、不安になることはありませんか?
みんな書いている経験が、世界を飛び回ったとか、NPOで代表を務めたとかすごい経験が多すぎて…
ただ、実際のところ人事の人は肩書きや経験の壮大さを重視しているわけではありません。
本のなかではこのような記述がありました。
別に、委員長でも、南北縦断でもない、こんな日常的なエピソードでも、自分をよく表してる話なら、それでいいのです。
エントリーシートや面接の目的は自分らしさを知ってもらうこと。
経験のすごさを競う場ではないですよね。
そもそも大規模なプロジェクトを率先して行うような人ばかりだと、組織として成り立ちません。
実際、人事の方のこのような声も紹介されていました。
組織には、リーダーシップを発揮していく人も必要ですが、しっかりと縁の下で支えていく人は、リーダー以上の数が必要です。じゃないと足元がぐらつくのでね。あなたがそんな、浮わつかないしっかりした価値観を持った上で人を支えてきたのなら、リーダーでなくとも、それはとても魅力的に見えます。
私自身ホワイトな職場にいたからというのもあるかもしれませんが、「周囲からの評価が高い人=リーダーシップのある人」ではないということを社会人生活で感じてました。
目立たないけどコツコツと自分のやるべきことをやるという人もしっかりと評価されるので、無理をして自分をよく見せようとしないでいいと思いますよ。(公務員志望者はなおさら)
すごい経験ではなく、PDCAサイクルが大事
すごい経験でなくても、自分の価値観に沿ってとった行動であれば堂々と伝えれば大丈夫です。
ただ、行動そのものを評価されるのではなく、どのように行動したかという中身が大事。
行動のプロセスにPDCAサイクルが入っているかどうかを人事の人はよくチェックしています。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルのこと
その企業では、見るべきポイントを「PDCAサイクルが入っているかどうか」に絞っているそうです。
つまり、きちんと計画を立て、それを実行し、その後で振り返り、改善をしていく、ということができたかどうか。それは、どんな場面でもいいのです。
好きなことだけをただひたすらやっていたという行動だけではNGということですね。
目標を定めて、どのように試行錯誤を繰り返してきたのか。そしてそのなかでどのようなことを学んだのか。
すごい経験ではなく、行動の中身、そしてそれを通じてわかる人間性の部分を人事の人は重視しています。
英語力はあまりアピールにつながらない
英語力は直接的なアピールにはなかなかつながりません。
英語が使えるかどうかよりも、もっと大事なところがあるからです。
多くの企業人が口にします。「英語力のある人よりも、まずは仕事ができる人になってくれ」と。
仕事ができる人は、たいていの場合、片言の英語でも、海外赴任してもうまくやっていける。しかし、その逆、英語のできる人が仕事ができるようになるとは限らないのです。
ただし、英語をなぜ勉強してきたのかといった価値観や、これからその英語をどのように活かしていきたいかといった展望、さらに勉強するにあたって苦労した点などでアピールすることはできます。
多くの企業で英語力自体はアピールにつながりにくいですが、どのように英語力を身につけてきたのかというプロセスや価値観には面接官もきっと興味を持つはずです。
その点をしっかりと伝えられるように準備をしておきましょう。
国語と算数の力は問題解決力、ロジカルシンキングにつながる
SPIなどの適性検査では国語と算数の力が主に試されます。
ではなぜ国語と算数の力が重要視されているのか。
このような説明がありました。
結局、論理性の多くは国語と算数に通じる 。世間では、仕事にはロジカルシンキングや問題発見能力が大切だ、とよく言います。そのためには、国語や算数がかなり重要な位置を占めている
ビジネスにおいて、算数と国語は必須アイテムです! ここを重んじる企業は多数派です。
そしてこういった国語や算数といった基礎的な能力は業績と高い関係性があるという研究結果もあるようです。
おおまかな傾向として、性格適性に関しては前述したとおりそれほど業績には連関していない一方、基礎能力(算数と国語)に関しては、かなり高い関係性が見出せています。
多くの企業や官公庁でSPIなどの試験が課されている理由がよくわかりますね。
志望動機はあまり重要視されていない
私自身ちょっと驚いたのが志望動機があまり重要視されていないという事実。
多くの企業の人事の方が同じような意見を言っているので、特定の企業に限った話ではなさそうです。
志望動機ぐらいは考えてきているだろうから、リラックスさせるためにやっている部分もあります。志望動機を聞くことにあまり意味がないことぐらい、採用担当もわかっていると思います。
会社側は志望動機について、内容はそんなに重視していません。志望動機に至る考え方や、その思いの伝え方を見ています。
(志望動機は)きっかけ作りで聞いてました。学生の過度な緊張はほぐしたいです。
志望動機の作成に苦労する人はかなり多いはず。
なのに、その志望動機を重視されないというのは少し残念な気もしますね。
ただ、就活生が頭をひねって考えるぶん、その人の素が出づらいともいえるかもしれません。
志望動機そのものよりも、やはり自分らしさをどう表現していくかのほうが大切ということですね。
結局のところ内定を得られる人ってどんな人?
どんな企業でも官公庁でも共通していえることがあることがあります。
それは、内定をもらえる人=いっしょに働きたいと思ってもらえる人だということ。
優秀だからといって、必ずしも内定を得られるわけではありません。
人事の人から「いっしょに働きたい!」と思ってもらえてはじめて内定につながります。
では、いっしょに働きたいと思ってもらえる人とはどのような人か。
この本のなかで、ヒントがありました。
採用で失敗するというのは、どういうことでしょうか。
- 自社の仕事がきちんとできない
- 自社の仲間とうまくやれない
これが最大の失敗です。ならば、面接で見ているポイントももうわかってきたでしょう。
- 自社の仕事がきちんとできるか
- 自社の仲間とうまくやれるか
これだけなのです。
内定を得られるかどうかのポイントはシンプルにあらわすと以下のようになるということですね。
内定を得るための肝といえる部分です。ここはしっかりと理解しておきましょう。